神岡鉄道('06年8月20日
 
 
 
神岡鉄道は富山県の猪谷駅から
飛騨市の奥飛騨温泉口駅を結ぶ第三セクター鉄道で
1966年に開業した国鉄神岡線を
1984年に引き継いで運営を開始しました。

神岡鉱山から産出された
亜鉛鉱石を輸送することが目的で作られた路線、
神岡鉄道としての三セク転換後も
硫酸の輸送を担ってきましたが、
神岡鉱業がトラック輸送に切り替えたことから
収益が急速に悪化、
2006年12月をもって廃止されることになりました。

路線の6割強がトンネルか橋という
奥飛騨の地下鉄」とも呼ばれた神岡鉄道、
廃止になる直前の2006年8月に探訪した時の
様子をレポートいたします。
画像をクリックすると拡大画像が出てきます。
岐阜県の北東端にある
山岳に囲まれた飛騨市の旧:神岡町。
イタイイタイ病の原因となってしまった
神岡鉱山の町として栄えました。
その神岡の中心街を突き抜けるように
鉄橋で横断する線路が。

これが神岡鉄道神岡線です。
鉄橋の下には
岐阜県の名水50選に選定された
船津大洞湧水群の一つ、
幸土泉水」という湧き水があり、
昔から清水が湧いていて
地元の方々の生活を潤しています。
そしてこの鉄橋の中ほどに
飛騨神岡という高架駅があります。
旧神岡町中心街や旧町役場の最寄り駅で、
神岡町で最も賑わう駅です。
地上から階段を上ると駅舎があり、
待合室の他に美容室が併設されていました。

朝早くに訪れたためか
人の気配は全く無し。
待合室から更に階段を数段上ると
ようやくホームに辿り着きます。
ホームには恵比寿さんが祀る祠がありました。
神岡鉄道の各駅には七福神が祀られ、
神岡鉄道七福神」と呼ばれて
スタンプも用意されてある、とか。
ホームからは神岡の中心街を一望できる
見晴らしの良さです。

とっても爽やかな朝でした。
軽やかな汽笛がトンネルの向こうから鳴り響き、
神岡鉄道KM-151「おくひだ2号
飛騨神岡駅に到着しました。

動画UP!
(画像をクリックすると動画が出てきます。)

飛騨神岡駅から南下して、
神岡鉄道の終着駅、
奥飛騨温泉口駅にやってきました。

駅前には貨物輸送で活躍した
KMDE10形ディーゼル機関車が飾られていました。
駅のホームでは
先程の「おくひだ2号」が休憩中〜。

この後、周辺をいろいろ散策しながら
神岡鉄道の始発駅であり、JR高山本線との接続駅でもある
猪谷(いのたに)駅へと向かいました。

ちなみに猪谷駅は
JR西日本とJR東海の境界駅です。
接続駅とはいえ、ひっそりとした無人駅。
神岡鉄道の列車は一日6便しかありません。

駅近くには
神岡鉱山で働く人々の宿舎が建てられ、
昔は娯楽のための映画館も作られるなど
猪谷はとても栄えていたそうです。
猪谷駅から
「おくひだ2号」が奥飛騨温泉口へ向かって
発車していきました。

動画UP!
(画像をクリックすると動画が出てきます。)
右側の高山本線から別れて
左側のトンネルに向かう線路が神岡線。

この鉄路がもうすぐ無くなってしまう・・・。

誰もいない、陽炎(かげろう)の立つ線路が
とても切ない光景でした。

猪谷駅から2駅。
茂住(もずみ)駅へとやってきました。

開業当時は列車が交換できるように
線路が2線あった島式ホームのようです。
しかし、今では片方の線路が撤去され、
島式ホームがその名残を残しています。

草が生い茂っているのが
なんとも歴史を感じさせます。
下り列車「おくひだ2号」がやってきても
人気は無し。

列車が走り去ると
またひっそりとした無人駅に戻っていきます。
茂住駅は
ノーベル賞を受賞した
小柴昌俊東京大学名誉教授の件で一躍有名になった
ニュートリノ検出装置「スーパーカミオカンデ」の最寄り駅です。

どこにあるのか?と周辺を探してみましたが、手がかりは見つからず。
それもそのはず、
スーパーカミオカンデは山の中にあるんですね・・・。
茂住駅近くの集落には
約200年前に建てられた旧柿下邸を
神岡町と町民が整備して
ニュートリノ の研究者と
地元住民との交流の場とした
夢館』があります。
一度茂住駅に戻り、のんびり一休み。
さて、次の駅へ行こうか・・・と思っていると、いきなり踏切の警報機が鳴り、
時刻表には載っていない時間に「おくひだ2号」が猪谷へと走っていきました。
動画UP!
(画像をクリックすると動画が出てきます。)

これは・・・いったい・・・?

とりあえず移動して
神岡鉱山前駅へとやってきました。

この駅でホームへ向かうには
いきなり地下道のようなトンネルを
くぐらなければいけません。
階段を上ると待合室。

ここもひっそりとしている・・・ようで、
外では意外と人の気配が・・・?
ホームに出てみると
地元の方々が
なにやらイベントの準備をしている模様。
なんとこの日は
神岡鉄道で毎年恒例となっていた
お化け列車」の最後の運行日だったのです!

なんと奇遇な。
神岡鉱山前駅のホームからは
神岡鉱業の工場が一望でき、
昔はこの駅が貨物列車の発着駅でした。
多くのタンク車が連なって賑わっていたことでしょう。

いまではKMDD13形ディーゼル機関車が
ポツリと線路に佇んでいるだけです。
しばらくすると猪谷から特別列車「お化け列車」がやってきました。
この駅では昔懐かしいタブレット交換が行われます。
今日で最後の「お化け列車」。
「おくひだ2号」を見送る駅員さんの背中がどことなく寂しそうな・・・。

動画UP!
(画像をクリックすると動画が出てきます。)

帰り際。
神岡鉱山前駅からは
専用線が鉄橋を渡って神岡鉱業へと伸びていました。
昔はこの鉄橋を貨物列車が走っていたんだなぁ・・・。


神岡鉄道の最後のイベント「お化け列車」に
偶然立ち会うことができ、
神岡の町と密着している神岡鉄道の一端を
感じ取ることができました。

この数ヵ月後、
残念ながら神岡鉄道は廃線となりました。
お疲れ様でした・・・。

・・・が、
その後、再び神岡鉄道が脚光を浴びています。
続きはこちらのレポートで・・・。


 

一覧表に戻ります
鉄道壁紙を探すなら
鉄道サイトを探すなら